車椅子M.S君と行く九州・・・無謀な旅 (part14)



 「しんぺい」の車内には、このように竹で作ったゴミ箱や下車散策用の傘が置いてありました。
 このあたりの装備も立派です。
 大畑を発車し、球磨川を渡ると、終点の人吉が近づいてきます。
 12時57分、終点の人吉(ひとよし)駅に到着しました。

乗り換え時間は約8分。
 普通の人間なら問題ない時間ですが、車椅子だと無事に乗れるのか・・・と心配しておりましたが、この駅にもスロープがあり、すぐに乗換えが出来ました。
 人吉からはこちら、13時05分発の特急「九州横断特急6号」別府行きに乗車します。
キハ185系です。

 先ほどの「しんぺい」もそうですが、この列車にも客室乗務員が乗務しております。
 このキハ185系は、九州横断特急用にリニューアルされておりました。
 車内は、このような感じとなっております。 この車両も木目調にリニューアルされています。
 ここでも、M.S君は驚いていました。

 しかし、これも車椅子が通れないので、車内に入ってすぐの座席に座りました。
 発車してしばらくすると、急流で有名な球磨川沿いを走行します。
 画像では見えないのですが、ラフティングや川下りをしている船がたくさん見えました。
 下流のほうへ近づくと、球磨川の流れもゆるやかになってきました。
 そして、14時12分、新八代駅に到着しました。 ここで、わたくしたちは下車しました。

 熊本でも、乗り換えは出来るのですが、熊本の場合は、ホームの移動に困難が生じるため、こちらの、新しい駅でエレベーターの設備がある新八代で乗り換えることにしました。
 ここから、787系特急「リレーつばめ12号」博多行きに乗車します。
いよいよこれが、九州で最後に乗る特急です。

 今回もグリーン車です。
 本当は、こちらのグリーン座席でも良かったのですが、最後もやはりグリーン個室にしました。 
 定刻どおり、新八代駅を離れました。
新幹線のホームがドンドンと離れていきます。
 熊本を通過し、田原坂(たばるざか)を通過しました。

この「リレーつばめ」は、速達タイプなので、次々に駅を通過していきます。

 グリーン個室をじっくりと堪能しました。
 16時08分、終点の博多駅に到着しました。

最後に客室乗務員に別れを告げ、降りていきます。
 これで、夢の世界の列車の旅は終わりました。

車椅子のM.S君も、JR九州の車両群をじっくりと見ていました。 夢(九州の車両)と現実(東海の車両)の区別が分かってしまったようです。
 博多駅で、土産や駅弁を購入し、新幹線ホームへきました。

ここからは、16時59分発の「ひかりレールスター」新大阪行きに乗車します。
 車内は、こんな感じなので、M.S君は、再び驚きを示しました。

そして、「ひかりレールスター」は、現実へ向けて発車しました。
 徳山のコンビナート群を見ると、もう本州であることを実感・・・。
 18時51分、岡山(おかやま)駅に到着しました。

乗客ですが、あまり混雑は無く、乗車率も半分は越えていませんでした。
 19時30分、新神戸(しんこうべ)駅に到着しました。
 ここから、19時38分発の「のぞみ30号」に乗り換えます。車両は、700系です。

 新大阪まで行ってもよかったのですが、ホームの移動などが、面倒な気がしたので、同一ホームで乗換えが可能な、この新神戸駅を選んだわけです。
 なぜか、ここ神戸では雨が降っており、時々稲妻も見えました。
 大阪を過ぎると、雨も止み、月が出ていました。

新大阪で、JR東海の担当に変わったとき、現実に戻ってきた・・・という実感がわいてきました。

 そして、20時45分、定刻どおり名古屋駅に到着し、夢の世界の旅は終了しました。
 車椅子のM.S君も見慣れた光景を見て、ここはすでに現実…であることを確認し、落胆してしまいました。


 今回の旅はいかがだったでしょうか? 車椅子のM.S君を連れての3泊4日の九州の旅をお伝えしました。
 車椅子のM.S君は、終始驚きっぱなしの状態で、何もかもが新鮮に見えていました。 
 M.S君は、これが初の大きな長距離の旅で、すごく充実して喜んでいました。 JR九州の特急車両などが大好きになり、そして、はじめて挑戦した砂蒸し風呂やグリーン車乗車、それに不可能と言われるくらいの乗りまわしの旅など、大きなことにも挑戦し、忘れられない旅となりました。

 今回は、ほとんどがわたくしと車椅子のM.S君二人の旅で、わたくし一人では介助的にも限界があり、かなり無理をさせてしまった結果、M.S君を負傷させてしまいましたが、それでもこの旅での収穫はとても大きかった・・・と言っておりました。
 また旅の途中で、自分の都合を無理して、わたくしたちに助けをしてくれたひろさんには、とても感謝しております。
わたくしたちが九州へ旅するのを知っていて、それで駆けつけてくれたので、本当に良い方でした。

M.S君は、ネットの人間は信じない・・・と言っていたのが、ひろさんのおかげで、その考えが変わり始めたようでした。

そして、この車椅子のM.S君、この旅をきっかけに、さらに色々な地域へ旅立ちたい…という思いが出てきました。 この車椅子M.S君の旅、きっと第二弾も行うことでしょう。

 なお、この九州の旅、見ていただければ、お分かりになったと思いますが、かなり無理をしていますので、他の車椅子の方や健常者の方にはかなり厳しいと思いますので、無理だけはしないように・・・ということだけをお伝えしたいです。




[おわり]

[戻る]

[旅日記トップへ]

[トップページ]